1992年創設、2014年に一般社団法人と着実に歩んでこられた本会の会長に就任することになりましたこと、誠に光栄に感じています。と同時に、医薬品等に対する社会からの信頼性は、信頼性保証が揺るぎないこと、このことに全てがかかっていますので、その責任の重さに身の引き締まる思いがします。本会は、医薬品等の信頼性保証に関わる情報発信、人材育成、提言を通じて人々の健康と福祉の向上に貢献するというビジョンと、それらに関する諸活動をミッションとして着実に活動してきました。これは、初代の大森義仁氏、法人化に努力された黒川達夫氏はじめ歴代の会長の方々や会員の皆様方のたゆまない真摯な取り組みが継続されてきた賜物と感謝申し上げます。今後ともこの精神を守り、時代の進歩に即応しながら誤りのなきよう努力する所存です。

 我が国では、少子高齢化が進む中で、医療の発展、福祉の向上、食の安全への国民のニーズがより一層高まっています。革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品などの研究開発や臨床研究が精力的に進められてきました。実用化の開発の担い手は、企業だけでなくアカデミアまで広がってきています。また、開発拠点や市販後の生産場所、流通過程のグローバル化がさらに進んでいます。一方、情報はインターネットで国境を越えて簡単かつ迅速に入手できるようになり、コンピュータが自動化を推進し、AI(人工知能)が日常の生活にまで入ってきています。このような科学技術の進歩を、医薬品等の品質、有効性、安全性に関するデータや生産・流通の信頼性向上のために活用することになりますが、利点と限界を見極めることがQA業務に必須になってきます。

 会員の皆様とともに、関係企業、団体、行政、大学・研究機関、国際機関からのご協力とご指導を賜りつつ、科学技術の進歩と開発・生産のグローバル化に対応した、本会の活動の一層の進展を通じ、社会への貢献に努力する所存です。何卒、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人日本QA研究会 会長 平山 佳伸

会長略歴

1980年 3月 京都大学大学院薬学研究科博士課程満期退学
1980年 4月 厚生省入省(環境衛生局食品化学課)
1996年10月 医薬品機構治験指導部治験相談課長
2000年 7月 医薬品医療機器審査センター審査第一部長
2003年 8月 厚生労働省医薬食品局安全対策課長
2005年 9月 大阪市立大学大学院医学研究科教授
2009年 7月 医薬品医療機器総合機構上席審議役
2010年 8月 厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)
2013年 7月 厚生労働省退職
2013年 9月 立命館大学薬学部特別招聘教授
2018年 3月 立命館大学退職